朝晩の空気にひんやりとした涼しさを感じるようになると、季節は本格的な秋へと移り変わります。
そんな時期に「最近肌がかゆい」「粉がふいてメイクのノリが悪い」「いつものスキンケアでは物足りない」といった、乾燥に関するお悩みが増えてくるのではないでしょうか。
実は、秋は一年の中でも特に肌が乾燥しやすく、肌トラブルが起こりやすい要注意シーズン。
夏の終わりから冬の入り口にかけてのこの時期、肌は外的・内的要因の影響を受け、不調を招きやすくなります。
このコラムでは、なぜ秋に肌が乾燥するのかという原因から、起こりやすいトラブルの種類、さらにスキンケアや生活習慣での対策方法まで、医療的な視点も交えながら丁寧に解説します。
日々のケアにぜひお役立てください。
秋に肌が乾燥しやすいのはなぜ?
秋は、肌の乾燥トラブルが始まる「季節の転換点」と言っても過言ではありません。
以下のような複数の要因が重なり、肌のうるおいが急激に奪われやすくなります。
湿度の低下と気温差で肌の水分が蒸発しやすくなる
秋になると、夏のような高湿度の環境から一変して空気が乾燥し始めます。
特に10月から11月にかけては、昼夜の寒暖差も激しくなり、外気の乾燥が一層進みます。
空気中の水分が減ると、肌表面の水分も蒸発しやすくなり、肌のうるおいバランスが崩れがちに。
肌のバリア機能が弱まり、乾燥だけでなく外的刺激にも敏感になりやすくなります。
夏の紫外線ダメージが遅れて表面化
夏の間に浴びた強い紫外線は、肌の奥深くに蓄積され、すぐには表に現れません。
しかし、秋に入る頃になると、そのダメージが肌表面に現れはじめ、肌のごわつき・くすみ・乾燥を引き起こします。
紫外線は角質層を破壊し、保湿力を支えるセラミドの生成を妨げるため、肌の水分保持力が低下します。
これにより、秋の乾燥をさらに悪化させる原因となります。
皮脂分泌の減少=”天然の保護膜”が不足
気温が下がることで皮脂腺の活動が鈍くなり、皮脂の分泌量が減少します。
皮脂は、汗とともに「皮脂膜」を形成し、肌表面を外的刺激から守りつつ水分の蒸発を防いでいます。
この天然の保湿バリアが弱まることで、肌は無防備な状態に。
特に、顔・手・すねなど、もともと皮脂腺が少ない部位では乾燥を感じやすくなります。
乾燥による肌トラブルとは?
肌が乾燥すると、見た目の変化だけでなく、不快感や皮膚疾患の原因となることも。
特に以下のような症状には注意が必要です。
かゆみ・粉ふき・つっぱり感の正体
肌の角質層が乾燥によりめくれ上がると、肌のバリア機能が著しく低下します。
すると、ほんの少しの刺激にも敏感に反応しやすくなり、かゆみやヒリヒリ感、つっぱり感を引き起こします。
ひどくなると、肌表面に白い粉がふいたようになったり、細かい皮むけが起こることもあります。
これらはすべて「乾燥性皮膚炎」のサインであり、慢性化すると湿疹や色素沈着を引き起こすリスクもあります。
特にかゆみを我慢できずに掻いてしまうと、肌に細かい傷がつき、二次感染や炎症の原因にもなるため注意が必要です。
敏感肌・アトピー性皮膚炎との関係
乾燥は、もともと敏感肌やアトピー性皮膚炎のある方にとって、大きな悪化因子となります。
バリア機能が低下した肌は、外部の刺激やアレルゲンに対して無防備となり、炎症が起こりやすくなります。
実際に「秋になるとアトピーが悪化する」という方は少なくありません。
肌の乾燥が進行することで、かゆみや湿疹が増え、治りにくくなることもあります。
また、赤ちゃんや高齢者は皮脂腺の働きが弱く、水分保持力も低いため、特に乾燥による影響を受けやすい傾向があります。
家族でお互いのケアも意識して行いましょう。
肌を守る正しいスキンケアの方法
肌を乾燥から守るには、外部からの適切なケアが欠かせません。
秋のスキンケアは、「洗いすぎない」「しっかり保湿」「肌に優しいアイテム選び」が鉄則です。
洗いすぎNG!正しい洗顔・入浴習慣
毎日の洗顔・入浴は、肌にとって必要な皮脂まで取り去ってしまう原因になりかねません。
以下のポイントを意識しましょう。
- 洗顔は朝晩2回で十分。泡立てネットなどを使って、もっちりした泡でやさしく洗いましょう。
- ゴシゴシこすらず、手のひらで押すように洗うことで、摩擦を軽減できます。
- 洗顔や入浴時のお湯は、32〜34℃のぬるま湯がベスト。熱すぎると皮脂を奪ってしまいます。
- ボディソープは低刺激・保湿成分配合のものを選び、ナイロンタオルでの強擦りは避けるのが無難です。
- 入浴後は肌が水分を失いやすいため、10分以内に保湿ケアを行うことがポイントです。
保湿剤の正しい使い方と塗るタイミング
保湿は、「洗顔・入浴後のすぐ」がゴールデンタイムです。
肌がまだしっとりしているうちに、化粧水で水分を補い、その上から乳液・クリームで水分を閉じ込めます。
乾燥しやすい部位(ひじ・ひざ・すね・手指など)にも忘れず塗りましょう。
かゆみや粉ふきが強い箇所には、ワセリンや保湿バームなど、油分がしっかり含まれたアイテムを重ね塗りすると、保護力がアップします。
化粧品を変えるときの注意点
秋の肌不調に合わせて化粧品を見直したくなる時期ですが、肌が不安定なときは、新しい製品によるトラブルも起こりやすくなります。
化粧品を変更する際は、まずは手首や耳の後ろでパッチテストを行いましょう。
異常がないことを確認したうえで、少しずつ使い始めるのが安全です。
乾燥対策に効果的な生活習慣

肌の健康は、日々の生活習慣の影響も大きく受けます。
スキンケアだけでなく、体の内側からのサポートも忘れずに行いましょう。
水分補給と食事の見直し
秋は「喉が渇きにくい」ため、意識的に水分補給をする必要があります。
こまめな水分摂取で、体全体の水分バランスを保つことが大切です。
また、以下のような栄養素を意識的に取り入れることが乾燥対策につながります。
- ビタミンA(皮膚や粘膜の維持)…レバー、にんじん、うなぎ
- ビタミンC(コラーゲン生成)…ブロッコリー、キウイ、赤ピーマン
- ビタミンE(血行促進・抗酸化)…ナッツ類、アボカド、かぼちゃ
加えて、セラミド・コラーゲン・ヒアルロン酸などの補助的な成分を食品やサプリで補うのも良い方法です。
睡眠と肌再生の関係
肌のターンオーバーは、睡眠中にもっとも活発になります。
特に入眠後最初の3時間に分泌される成長ホルモンが、肌細胞の修復や再生に大きく関与しています。
寝る時間が不規則だったり、睡眠時間が短かったりすると、肌の再生が滞り、乾燥やくすみの原因になります。
毎日同じ時間に就寝・起床するよう意識して、質の良い睡眠を確保しましょう。
部屋の湿度管理で肌環境を整える
エアコンや暖房によって、室内は一気に乾燥します。
肌のためには、室内の湿度を50〜60%に保つのが理想です。
加湿器の使用はもちろん、濡れタオルや観葉植物の設置も、湿度を保つために効果的です。
寝室やリビングなど、長時間過ごす空間では特に湿度管理を意識しましょう。
お肌の悩み、我慢せずに相談を
「秋になると肌の調子が悪いのは毎年のこと」と、諦めていませんか?
乾燥による不快な症状は、早めの対処で改善する可能性が高くなります。
もし、セルフケアで改善しないかゆみ・湿疹・赤みなどが見られる場合は、医療機関での診察をおすすめします。
肌の乾燥は、身体からの重要なサインでもあります。
日々の小さな変化に耳を傾け、季節に応じた丁寧なケアを取り入れることで、秋の肌トラブルは予防・改善が可能です。
美しい肌で、秋のファッションや外出を思いきり楽しむためにも、今日からできる対策を始めてみませんか?
正しいケアで秋も健やかで美しい肌を保ちましょう。
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