春になると「肌がピリピリする」「かゆみや赤みが出る」といった肌トラブルが増える方が多くなります。
その原因のひとつとして近年注目されているのが、大気中の外的刺激である“黄砂”です。

今回は、黄砂が肌に与える影響や、肌荒れを防ぐための対策について、解説していきます。

黄砂とは?

春になると、天気予報などで「黄砂の飛来に注意」という言葉を耳にする機会が増えます。
黄砂とは、中国大陸の砂漠地帯から巻き上げられた微細な砂塵が、偏西風に乗って日本を含む東アジアに飛来する現象のことを指します。
黄砂は非常に粒子が細かいため、空気中を長時間漂い、呼吸器や目、そして皮膚にもさまざまな影響を与えます。
砂粒には大気汚染物質や細菌、カビ、花粉などが付着していることもあり、これらが私たちの呼吸器や皮膚に刺激を与える要因になります。

また、黄砂に付着する微小粒子状物質「PM2.5」も見逃せない存在です。
PM2.5は特に粒子が小さく、肺の奥深くまで入り込みやすいため、呼吸器系や循環器系への影響が懸念されています。
肌にとっても刺激となり、黄砂とともに肌荒れや炎症を引き起こすリスクが高まります。

日本では例年、3月〜5月頃にかけて黄砂の飛来がピークを迎え、空がかすんで見えるほど飛散量が多い日もあります。

肌のバリア機能とは?

肌には、本来私たちの身体を守るための「バリア機能」が備わっています。
この機能は、わずか0.02mmの厚さしかない角質層(かくしつそう)によって担われています。
角質層は、外部からの刺激や異物の侵入を防ぐ“盾”のような役割を果たしながら、肌内部の水分や細胞間脂質(さいぼうかんししつ)が逃げるのを防ぎ、うるおいをキープする働きをしています。

バリア機能には主に以下のような役割があります。

  • 肌のうるおいを保ち、水分を蓄える
  • 細菌や花粉、ホコリなどの異物の侵入を防ぐ
  • 紫外線や乾燥などの外的刺激から肌を守る

しかし、このバリア機能は、気温の変化や乾燥、紫外線、アレルゲン、ストレスなどで簡単に乱れてしまうデリケートなものです。
特に春先は、黄砂や花粉だけでなく紫外線量も増えるため、外的刺激が重なりやすい季節です。
これらの影響で角質層の水分や細胞間脂質が減少すると、角質層の構造に“すき間”が生じ、アレルゲンや刺激物が侵入しやすくなります。
その結果、赤み・かゆみ・乾燥などの炎症反応が起こりやすくなり、肌荒れが慢性化することもあります。
さらに黄砂には、細かい砂に加え排気ガスやPM2.5、細菌・カビなどが付着している場合もあり、バリア機能が低下した肌にはより強い刺激となります。

黄砂の時期に肌トラブルが増えるのは、単なる敏感肌ではなく、バリア機能の低下によって外的刺激に無防備な状態になっているからなのです。

肌を守るためにできること

黄砂による肌荒れを防ぐには、日常のスキンケアに加えて、肌の状態に合わせた対策が大切です。
外的刺激にさらされる春こそ、内外からのケアを意識しましょう。

日常でできるセルフケア

  • 外出時はマスクやメガネで肌の露出を減らす
  • 帰宅後はすぐに手と顔をやさしく洗う
  • 保湿を徹底する
  • 紫外線対策をする(UVと黄砂のダブル刺激を避ける)
  • タバコやアルコールは控えめにする

スキンケアでは、肌のバリア機能を高める成分としておすすめなのが「セラミド」です。
水分を抱え込む力が強く、肌のうるおいを守る役割を担っています。
セラミドで満たされた肌は、バリア機能の働きが高く、外部刺激で肌荒れしにくい状態となり、肌表面も潤ってキメが整っていきます。

クリニックで受けられる肌ゆらぎのケア

  • 肌のバリア機能を整える水光注射やスキンブースター
  • 炎症を抑える鎮静系のイオン導入(当院はケアシス)
  • 医師の診断によるスキンケア商品の選定や、必要に応じた抗酸化ビタミン(A・C・Eなど)の内服薬の処方

肌の状態を見極め、医師によるケアを取り入れることで、季節性の肌トラブルを未然に防ぐことが可能です。

黄砂の季節もゆらがない肌を

黄砂による肌荒れは、春特有の外的刺激によるものです。
特に敏感肌や乾燥肌の方は、日頃のスキンケアに加え、早めの対策を意識することが大切です。
日常的なセルフケアで肌を守ることが基本ですが、美容医療の力を借りて上手に組み合わせることで、春先の肌トラブルを最小限に抑えることができます。

「最近、肌がゆらぎがち…」と感じたら、まずはお気軽にご相談を。
季節の変わり目も、健やかで美しい肌を目指しましょう。